二人のアーティスト教員リニューアルで目指す ポップスの伝えかたとは

ポップスコース 片岡大志
ポップスコース 藤田 千章

ポップスコースには、20代の頃から音楽業界を走りつづけ、今もアーティストとして精力的に活動する教員が在籍しています。
インプットされた膨大なスキルと経験を、学生にどう教え、何を伝えたいのか。
リニューアルの準備を進める二人の教員に迫り、 尚美学園大学でポップスを学ぶ魅力について語ってもらいました。

ポップスコース教員

片岡 大志

芸術情報学部音楽表現学科 教授(ポップスコース主任)
【担当科目】ソングライティング/ 専攻実技/ 基礎演習A,B ほか

芸術情報学部音楽表現学科 教授(ポップスコース主任)片岡大志

Profile 1993年、BMGビクターからシンガーソングライターとしてデビュー。1995年、東芝EMIと専属アーティスト契約。1997年、テイチクエンターテインメントと専属アーティスト契約。2000年、クリアスカイコーポレーションと共に設立したインディーズレーベル『青空レコード』と専属プロデューサー契約。同年、東芝EMIヴァージンと独占レーベル契約。矢井田瞳のアルバムを3 年連続オリコン1位に送り込み、東西ドーム公演を行う。 その後、2010年にはmiwaのデビューアルバムをオリコン1位に送り込むなど、数多くのメジャーアーティストのサウンドプロデュースを務める。2012年、総合音楽教室『唄小屋』を開設。2014年、尚美学園大学芸術情報学部音楽表現学科の准教授に就任する一方で、2015年にはワーナーミュージックジャパンより自身の6thアルバム『Blue Bard』を全国発売。2018年、シンコーミュージック出版月刊誌『GiGS』にて『拝啓。独学シンガーソングライターのあなたへ』の連載をスタート。2019年には、シンコーミュージック出版より『独学シンガーソングライター歌作り気づきノート』を発刊する。独自の歌唱・作詞・作曲メソッドと、演奏・編曲・録音監修論を確立し、2020年に同大学芸術情報学部音楽表現学科の教授(ポップスコース主任)に就任。現在もシンガーソングライターとして年間40本以上のライブを精力的に行っている。

サウンドプロデュース
楽曲提供アーティスト(抜粋)

矢井田瞳/miwa/V6/中村千尋/ゼリ→/中村繪里子/植村花菜/小柳ゆき/亜波根綾乃/ヨースケ@HOME/D-51/つしまみれ/OUTLAW/SPLAY/Stay wander/around/妃野アキ/Fonogenico/Thirstroad/E-Zee Band/HUMANS/ミサイルイノベーション/TOYONO/カンシオ/Diana∽Diana/JET LILY STAR/UESA/Ammoflight etc.

藤田 千章

芸術情報学部音楽表現学科 准教授
【担当科目】ポップス・アンサンブル/ プリプロダクション演習 / 実技レッスン(キーボード)ほか

芸術情報学部音楽表現学科 准教授 藤田 千章

Profile 2018年にメジャーデビュー 30周年を迎えた日本の3ピースバンド、「Sing Like Talking」のキーボーディスト。ほとんどの楽曲の作詞曲・編曲に携わるサウンドクリエイターであり、トラックメイカー、コンポーザー、アレンジャー、プログラマーでもある。音響・音源制作の責任者も務める。1988年、佐藤竹善(Vo)、西村智彦(Gt)とともにシングル「Dancin' With Your Lies」でファンハウスからデビュー。1stアルバム「Try And Try Again」を発売し、ジェフ・ポーカロ(Dr)、ネイザン・イースト(Bs)を迎えてデビューライブを 行う。レコーディングでは、マーカス・ミラー(Bs)、ジム・ケルトナー(Dr)、マイケル・ランドー(Gt)らをゲストミュージシャンとして迎え、日本人離れしたサウンドと洋楽志向で、幅広い音楽ファンから注目を集める。現在までにオリジナル・アルバム14枚、ベスト・アルバム3枚、セレクション・アルバム2枚、シングル41枚をリリースし、作品総売上枚数はアルバムで 400万枚、総アイテムでは600万枚を超える。映画「あぶない刑事」シリーズの主題歌をはじめ、ドラマ、TV番組、CMなどのタイアップ楽曲も多数。ソロ活動では、1999年からプレイステーション用ゲームソフト『サモンナイト』シリーズの音楽制作を担当し、本シリーズ5作、外伝2作の制作を監修。アーティストのサウンドプロデュースも幅広く手がけてい る。2018年、尚美学園大学芸術情報学部音楽表現学科の准教授に就任。

サウンドプロデュースアーティスト(抜粋)

Emiko Bleu/リゲル/ヴォイス/Something Else/陣内大蔵/SoRi/PHONES/アキタノブオ/宮本コウヘイ/甲斐よしひろ/クサカンムリ/古谷智志/西村智彦 etc.

詞曲提供(リミックス含む)アーティスト

岩崎宏美/尾崎亜美/サーカス/黒沢律子/ 亜波根綾乃/ 高畑充希/See-Saw/ 柴田恭兵 etc.

メジャー契約を結ばなくてもデビューできる時代だからこそ、
音楽を学ぶ意味がある。

はじめに、ポップスコースをリニューアルする理由や、ポップスを学ぶ魅力について聞かせてください。

芸術情報学部音楽表現学科 准教授 藤田 千章

片岡 音大ではクラシック音楽がカリキュラム体系の中心にありますが、それはこれまでの音楽教育の歴史の延長線上にあるからです。しかし現代では、授業にもポピュラー音楽が積極的に取り入れられるようになりました。“音楽が好き”な10 代の若者の多くが、日常的にポップス分野の音楽を聴いていると思います。

芸術情報学部音楽表現学科 准教授 藤田 千章

藤田 音楽に興味を持つきっかけも、昔よりむしろ幅広い。テレビ、ラジオよりも、SNSやYouTube、アニメ、ゲーム、サブスクなどが情報源ですからね。音楽の形態も多種多様になり、さらに広がり続けていると思います。音楽に触れる機会が増え、もっと音楽を知りたい、演奏力を磨きたい、音楽を作ってみたいというリクエストに対する受け皿として、ポップスを大学教育研究に引き上げる必要性があります。

芸術情報学部音楽表現学科 教授(ポップスコース主任)片岡大志

片岡 今回のリニューアルは、ポップスを基軸とした新しい音楽の学びへの挑戦でもあるんですね。

藤田 ポップスは、さまざまな要素が含まれている大衆音楽。自由で、間口も広い。研究する教材としても、興味深い音楽分野です。

片岡 背景にある時代やカルチャー、社会情勢も楽曲に映し出されますよね。

藤田 その時代の気分、出来事、考え方、価値観・・・・・・いろんなものが顕著に反映されます。

片岡 大衆音楽であるポップスの技術や成り立ちを研究することは、文化・教養を学ぶことにも通じます。その点でも大学で深く掘り下げる価値があると思います。

藤田 今までは“音大に行く=プロを目指す”という印象が強かったわけですが、職業音楽家になることだけを目的にしなくてもいいと思うんです。

片岡 大学で文学を学んだ人が、みんな文筆家になるわけでないのと同じですよね。それに今はレコード会社とメジャー契約を結ばなくても、SNSや動画投稿サイトを使えばデビューと同等、それ以上の展開も可能な世の中になりました。

藤田 プロを目指すから学ぶ、目指さないから学ばない、という時代ではなくなりつつあるんですね。

30年以上の経験の中で
見つけた音楽の知識やコツを、
4年間に凝縮して伝えたい。

お二人は音楽業界で長年活躍し、現在もアーティストとして精力的に活動されています。
学生にどう教え、何を伝えていきたいですか?

芸術情報学部音楽表現学科 教授(ポップスコース主任)片岡大志
芸術情報学部音楽表現学科 教授(ポップスコース主任)片岡大志
芸術情報学部音楽表現学科 准教授 藤田 千章

片岡 独学で楽器を弾いたり、歌っている高校生のほとんどが、見よう見まねでやっていると思います。音楽セオリーを知らないひとも多いはずなので、実力に合わせて基礎からしっかりと教えていきます。基礎を理解することで、自分の演奏を客観的に聴くこともできますし、別の楽曲に応用していく想像力も養われます。

藤田 自分も独学で始めましたが、音楽をやっているといろんな問題が起きます。“弦やホーンのアレンジはどうすれば上手くできるんだろう”とかね。そのたびに解決策を探して、いろんな知識が溜まっていき、少しずつ繋がっていく。

片岡 たくさんの知識や技術、経験の点と点が、一本の線になっていく感覚ですよね。

藤田 そこにたどり着くまで、未だ道半ばにして、かなりの時間を費やしてしまったわけです。

片岡 それらの経験則を活かして組み上げたポップスの学びのカリキュラムが、これからスタートするということですね。

藤田 30年以上の経験の中で見つけた知識やコツを、4年間に凝縮して学生に伝えたいと考えています。

片岡 これまでのサウンドプロデュース経験を活かして、どのように音楽に取り組めば、多くのひとに聴いてもらえるのか、客観的な視点からアドバイスを行っていきたいですね。

藤田 自分が大学生だった頃を思い返せば、壁にぶつかり、一喜一憂することも多いと思います。ただ、設定目標にスキルが到達すると、案外、難しくなかったと思うはずです。どこに目標を定め、どんなスキルが必要で、どのようなプロセスで習得することが近道か、学生に応じてアドバイスできると思っています。

片岡 私たち以外にも、音楽業界の第一線で活躍している教員が集まっています。ドラマー、ベーシスト、ギタリストをはじめ、この業界で知らないひとはいない豪華な顔ぶれです。テクニックはもちろんですが、巨大なステージで大観衆の前に立つ時の“心構え”などは、経験した者にしか教えられません。

音楽経験は問いません。 毎日音楽にワクワクしたいひとなら
毎日音楽に
ワクワクしたいひとなら
ボーダーレスで大歓迎です。

最後に、高校生の皆さんにメッセージをお願いします。

片岡 バンド経験がないひとも多いと思います。アンサンブル授業での、バンド全員がシンクロする瞬間の感動をぜひ味わってほしいですね。音楽は、たった一人で演奏することもできるけど、その演奏を聴いてくれる誰かが必ず必要です。授業では一緒に成長していけるムードを大切にして、喜びを仲間とシェアしながら上達していけるように教えていきます。

藤田 さまざまな要素から成り立っているカリキュラムも、ぜひ注目してもらいたいポイントです。

片岡 そうですね。実技演奏・アンサンブル・創作・音源制作・音楽セオリーという5つの領域のスキルを、基礎から身につけられるカリキュラムは、今までの音楽大学のスタイルでは見られない特長だと思います。

藤田 さまざまな音楽を追求することもできます。ポップスには世界中の音楽要素が内包されているからです。ジャズやクラシック、R&B、Hip Hop、EDM、民族音楽や地域の伝統音楽……。

片岡 授業ではロックも弾き語りも取り上げますし、アニソンやボカロも。もう、ジャンルレスですね。

藤田 一方で、音楽は映画・ドラマ・CM・舞台芸術など、さまざまなエンターテインメントに欠かせません。本学の豊富な芸術分野の特色を活かして、音楽コンテンツ制作に取り組み、試す機会もつくりたいですね。

片岡 “ 音楽が好きだ!”という気持ちを持っていて、大学での4 年間“自分の好き! に没頭したい”と考えているひとであれば大歓迎です。

藤田 学ぶ目的は“プロを目指したい”でも“毎日音楽と過ごしたい”でも何でもいい。音楽経験も問いません。ボーダーレスで歓迎します。

片岡 もしかしたら、これを読んでるあなたの才能が、音楽シーンで花開くかもしれない。成長には“ワクワク”が必要です。それがあれば頑張れます。私たちも、4 年間途切れることのない“ワクワク”をしっかりと用意してお待ちしています!

学生の個性や才能を輝かせるために大事なことは何かを、 指導者として探し求めながらレッスンは続く。

ポップスシーンを走りつづけ、音楽を探究してきた者だけが 持つ引き出しが、学生のために開かれる。