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連続テレビ小説「つばさ」ウィークリー・トーク
連続テレビ小説「つばさ」フレーム切手

尚美総合芸術センターとは?
尚美総合芸術センターは、平成21年4月、本学の特色である美の価値創造に関する教育力・研究力を、産官の力と有機的に統合し、生涯学習支援、生涯学習環境づくりに資する調査研究に取り組み、その成果を尚美学園における教育、生涯学習支援、地域間文化交流、異文化交流に活用することで社会へ還元することを目的に、開設されました。

連続テレビ小説「つばさ」ウィークリー・トーク

テレビエッセー『やじろべえ』

執筆: 平原日出夫先生(元NHKチーフプロデューサー/元実践女子大学教授)

第29回
『ぽてと』解体の危機
~第23週 去りゆく仲間~

●旅立つ鳥の羽ばたき
彼(かれ): 「旅立ちのうた」という副題はロマンティックに聞こえますが、要するに「ぽてと」が買収され、解体する話ですね。まず、経理の伸子が、子供の中学進学を理由に、城之内房子の会社へ転職する。同時に「ぽてと」が借りている『川越キネマ』の買収話が進む。持主の斉藤興業社長は「ここを売るつもりはない」と言いながら、川越から出て行くと言う。
此(これ): その彼は「ここはいい広場になった。オレは満足。それを伝えにきた」と言う。月曜(第133回)はそこで終り。例の気をもたせたセリフだったね。
彼: 火曜(第134回)は、アレコレ話題が一杯でした。竹雄は斉藤のために送別会を用意し、城之内エンタープライズに入社した伸子は会長房子のご機嫌を伺い、新聞紙面にはベッカム一郎の傷害事件が報じられ・・・。「小江戸」では、斉藤・竹雄が酒を酌み交わす。「心残りは?」と問う竹雄に、斉藤は「見るべきほどのことは見ず」などとご大層に答える。斉藤の《気を持たせ病》はかなり重症です。
此: みんなは羽音たてて飛び立つ気配だね。


●カノンの別れのDJ
彼: 加乃子がDJ(ディスクジョッキー)になるのを、斉藤は夢見ていたという。そこで、竹雄は《斉藤・加乃子と自分》の3人のための、DJの場を設定する。翌水曜(第135回)にカノンは斉藤を送り出すためのDJを見事に果たす。そのラストで、カノンと斉藤は別れのキスをする。斉藤・加乃子の間の心の蟠(わだかま)りは消え、DJをセットした竹雄の心のしこりも消える。

 彼さん、男たちのこの感情をどう思う?

彼: 同性としては、経験したくないですね。
此: 中年としては、分からないでもないね。
彼: この3人の話はすべて脇筋の話ですよ。ヒロインにとってどうでもいい話です。ここら辺が、視聴者の目をヒロインから逸(そ)らす原因でしょうね。
土曜日(第138回)では、つばさは旅立っていく仲間たちに放送でエールを送ってましたね。伸子も去り、二郎も去り、そして浪岡も「ぽてと」を去る・・・。つばさは浪岡に、家に戻って茶道を継いでほしいと語りかける。それに合わせるように、千代もまた病床の葛城の許で馳(は)せ参じようと支度する(土曜/第138回)。みんな気もそぞろで、浮足立ってます。


●視聴率ワーストの第一原因
此: ストーリー構成は、一応すんなりした流れだったね。コマ切れのスタッフ退職話を継ぎ合わせ、その間に斉藤を川越から退去させたり、城之内房子の「ぽてと」買収話を挟んだりして、多層式のストーリー展開は相変わらずという印象で、ドラマ全体の力を弱めている感じだね。
彼: いや、逆ですよ。コマ切れ話を連鎖的につなげることで、あれでも印象を強めようとしてるんです。話題を掘り下げるのはお好きじゃないようですから。
此: そういう風に考えるのか、成るほどね。一貫した太い筋の語り口は、この作者には不向きだから、コマ切れにする外(ほか)ないというわけだね。
彼: ええ、その通り。
伝(でん): こうした運び、同時多発する事件を同時併行的に進行させて、ラストも同時的に解決させるというのが、この作者特有のドラマ運びだけど、そんなかたちの現実はあり得ない。だから、ドラマは必然的にウソっぽくなる。その辺が視聴率が伸びない理由だろうね。
彼: 視聴者は大賢(たいけん)ですからね。
此: 大愚(たいぐ)なのは制作スタッフというわけか。


●「つばさ」の中の《時間》
彼: 木曜放送(第136回)で、「ぽてと」の屋上で、つばさが伸子に「一年以上、ここに居たから」と口にする。僕はオヤッと思いました。「つばさ」はリアルタイムドラマではなかたっんですね。第18週での姉弟の長瀞行きは同時進行の出来事だと思ってましたから、《ドラマ時間》が急に半年先に飛んだような気がしました。
此: 季節感が曖昧で、あまりハッキリしなかったね。
考えてみれば、甘玉堂でも「ぽてと」でも、ずいぶん盛り沢山な出来事が起こったもんだね。
彼: 起こり過ぎですよ。話題のための話題作りがそうさせるんですよ。そこら辺がリアリティを欠く、ウソっぽいドラマになる原因だと思いますね。


●ゲスト配役の再登場
此: 台本面では不満な要素ばかりで、褒(ほ)めることが少ないのが残念だね。でも、演技面では時々いいのが見られるね。今週では、ベッカム一郎とロナウ二郎の二人がよかったね。とくに、木曜放送(第136回)での、ベッカム一郎と二郎の涙の掛合いはよかった。つばさが二人にコンビを再結成して欲しいと頼むあたりの、落ち目のベッカムの泣き笑いの演技はよかった。
彼: 泣けましたね。此(これ)さんはやっぱり役者ですね。
伝: その意味では、台本もよかったわけだよ。ああいう光ったシーンをもっと見たいもんだね。
彼:本日はこれにてお開きに。 (2009.9.5)


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