5.1chサラウンドミックス ?音場演出の意図をご紹介?
ここでは、5.1chサラウンドミックスで行なった音場構成(演出)の意図をいくつかご紹介します。
M1. ジャングルの朝
広大なジャングルの夜明けです。朝日の輝きを受けて、生命の躍動が始まります。あまりに有名なテーマ曲はすでに市販されているいくつかのCDで商品で聴くことができます。サラウンドミックス(音場演出)は、前面が主体となるオーケストラの楽器配置で、ホール音響のような印象のサウンドですが、弦楽器を後ろのスピーカーからも出して、広がりを作っています。また、ラテンパーカッションは左右にはっきり分け、男性合唱は岸壁に反響する広がりの音を意図的に作っています。
M10. パンジャの死
第1部のクライマックスです。シーンは妻エライザが捕まったことを知って、パンジャが走り出すところから始まります。その時、パンジャの心にあったのは怒りや焦りでしょうか。やがて、檻に入ったエライザを見つけたパンジャはエライザの声を聞きます。「来ないで、ハンターが銃で狙っているわ」と叫ぶエライザの姿を見て、パンジャは死を覚悟して飛び込みます。夫婦の対話は管楽器(パンジャ)と弦楽器(エライザ)で描かれており、前後のスピーカーでパンジャとエライザを分けています。この夫婦の距離感が音場演出としても重要でした。そして、緊迫は数発の銃声で静寂へと変わります。やがて夫婦の最後の会話が聞こえてくるのです。
M12. あらしの海
冒頭の嵐の効果音から、弦楽器の早いパッセージで始まる「あらしの海」。男声合唱が波のうねりを、女声合唱が吹き抜ける風を描いています。稲光りのピッコロと重厚なティンパニが四方から聞こえます。管楽器を前面に配置して、迫り来る嵐の重厚感を出しています。対して、弦楽器を後方まで広げています。
M16. アフリカが見えた!
両親から勇気をもらったレオはアフリカへと泳ぎます。やがて見えてくる大陸。終曲となる「アフリカが見えた!」は録音スタジオではなく、杉並公会堂でのホール録音です。サラウンドミックスは「ジャングルの朝」と同様、前面にオーケストラの楽器を配置し、残響で広がりのある音場構成をしています。男性合唱は別録りですので、「ジャングルの朝」と同様、岸壁に反響する広がりを意図的に作っています。
文:野尻修平

