「交響詩ジャングル大帝によせて」
MICK M.沢口 サラウンド寺子屋 UNAMAS-JAZZ 代表
新版「ジャングル大帝」完成を心からお喜び申し上げます。冨田さんのサラウンド立体音響を前提にした作曲活動は、世界でも大変少ない作曲表現としてまさに日本が文化として誇る活動の一つだと認識しています。永年継続してこられたエネルギーの核は、以下のようなところにあるのではないかと、感じています。
1 作曲をする時に耳の前だけを使うのでなく360度の空間を使って作曲する。これは、現在の大多数の作曲家が耳の前にだけ注視して音楽を書くアプローチを超えたまさに立体音楽の作曲方法として冨田さんが確立した手法といえます。
2 この表現方法を一代限りのもので終らせず、広く学究活動として啓発活動を行い、結果次世代の若手を輩出していること。これは尚美学園大学におけるトミタメソッドとしてジャングル大帝の制作においても大きな役割を成果として発揮しています。ジャングル大帝は、小中学校における情操教育という面でも「心の豊かさ」を啓発できる有益な音楽教材でもあります。
3 既存レコード制作 モデルへの挑戦
これまでのレコード制作は、エジソン以来の原盤をレコード会社が受け持ち、流通から、販売プロモーションを行うビジネスモデルの中でマーケットが発展してきました。しかし、今日のデジタル技術は、こうしたビジネスモデルに大きな変革をもたらしています。アーティスト主義ですべてのことが出来るスキルを身につければ、大きな可能性とビジネスモデルができあがります。こうした新たな仕組み作りにも先駆的に取り組んできました。
今回の「交響詩ジャングル大帝」をサラウンドで試聴すると、まさに良い音楽からは、良い映像が浮かぶ!という業界の常識をそのまま体感することが出来ます。手塚治虫さんの文明批評を音で立体空間へ投影した、本作品を是非おききください。
沢口真生(2010.4.9)
沢口真生 プロフィール
1948年大分県別府市生まれ。1971年千葉工業大学電子工学科卒。同年NHK入局。山形局をへて1975年放送センター制作技術局ドラマミキサーとして芸術祭大賞・放送文化基金賞・IBC ノンブルドール賞・バチカン希望賞など 受賞作を担当。1985年以降は、サラウンド音声開発に従事。AES を中心にワークショップ・セミナー・技術発表を行う。2003年 制作技術センター長。2005-07パイオニア顧問(オーディオ推進担当)。2006-04より東京芸術大学音楽環境創造学科サウンドデザイン講師。2007-09よりUNAMAS JAZZレーベルを立ち上げ高品質音楽制作をスタート。2002年AESよりサラウンド音響開発への貢献でフェローシップ授賞。2003年ヨーロッパIBSより同趣旨でフェローを授賞。2004年ABUよりサラウンド制作論文が2004年度最優秀論文賞受賞。2005年JASより音の日10周年記念として永年のサラウンド活動に対し「音の匠」を顕彰。2009年14thAES TOKYO CONVENTIONにてサラウンド寺子屋活動に対し「AES JAPAN AWARD」受賞





